離婚・男女問題コラム

2018.01.16更新

こんにちは。日本橋人形町の弁護士濵門俊也(はまかど・としや)です。


不倫・不貞行為の証拠となり得る材料はあちらこちらに隠されています。調査会社の報告書はオーソドックスですが,最近は,電子メールはもちろん,LINEやTwitter等のSNSも証拠として提出する機会が増えました(もっとも,裁判所に提出するのは紙ベースの書証としてですが。)。

「不倫の証拠」を家族共有のパソコンで見つけたという人が,証拠として使えるのかと相談される機会もあります。
ここで問題となりそうな点は,「不正アクセスにならないのか」という点です。相談者は「配偶者がメールサイトにログインしたまま放置していました。追加のログイン操作をせずにメールの中身を見ることができたのですが,これは不倫の証拠として使用しても問題ないでしょうか」と質問してきます。
相談者のように「ログイン操作をせずにメールの中身を見ることができた」場合には,不正アクセスには該当しないのでしょうか。かりに「ログイン操作」をしていた場合には,不正アクセスに該当するのでしょうか。


●解説のポイント
・「上記相談者のケースでは,不正アクセスに該当しない
・オンラインでIDやパスワードを無断入力すると「不正アクセス」に該当する
・不正アクセスで得た証拠は,証拠能力が否定される可能性もある


●「不正アクセス」に該当しない根拠


結論からいいますと,相談者のケースには,不正アクセスには該当しません。不倫の証拠として有効なものだといえます。

不正アクセス行為の禁止等に関する法律第2条4項によると,「不正アクセス」とは,コンピュータ・ネットワークを通じて,他人のIDやパスワードを無断で入力するなどして,他人のコンピュータにアクセスすることだとされます。
相談者のケースでは,メールを閲覧する際にIDやパスワードを無断で入力したという事情はありません。また,かりに,共有PCのキーボードでメールソフトのIDやパスワードを入力していたとしても,「コンピュータ・ネットワークを通じての入力」には該当しません。したがって,不正アクセスには該当しないと思われます。


●不正アクセスで得ると,証拠能力が否定される可能性もある


では,もし,「不正アクセス」に該当する方法で配偶者の不倫の証拠となるメールを手に入れた場合,民事訴訟や人事訴訟において証拠として利用することはできるのでしょうか。
一般的には,違法な手段で手に入れた証拠であっても,原則として民事裁判や人事訴訟において使用することは可能です(民事訴訟等で採用されている自由心証主義により証拠能力の無制限が導かれるからです。)。
しかし,証拠の入手方法が極めて悪質であったり,それによって他人の人権が著しく侵害されたりするような場合は,証拠能力が認められず,民事訴訟等で使用することはできないとされています。
不正アクセスに該当するような場合,すなわち,コンピュータ・ネットワークを通じてのハッキングによって配偶者のメールを入手した場合などは,入手方法がかなり悪質であると考えられること,配偶者のプライバシーを侵害している面は否定できないことなどから,証拠能力が否定される可能性もあり得ます。

投稿者: 弁護士濵門俊也

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