離婚・男女問題コラム

2019.05.20更新

こんにちは。日本橋人形町の弁護士濵門俊也(はまかど・としや)です。

 


現在『週プレNEWS』Webコミック配信で絶賛連載中のゆでたまご先生の漫画『キン肉マン』ですが,本日5月20日に発売された週刊プレイボーイ(集英社)2019年6月3日号では,『キン肉マン』の40周年を記念した特集が50ページにわたって展開されています。

 

表紙にはキン肉マンとキン肉マンソルジャー(もちろん「アタル兄さん」のほうです。「真ソル」こと「ソルジャーマン」ではありません。ソルジャーマンのコミュニケーション能力が非常に優れていることは,「ギ…ゲ…ゴ…」の台詞でファンにはよく知られています。)が登場。誌面には連載中の『キン肉マン』第284話が先行掲載されており,本日Webで公開された第283話の続きを読むことができます。
毎週月曜日の配信を週初めの密かな楽しみにしている私にとって,今日は「肉祭」となりました。週刊プレイボーイならば「女房を質に入れ」なくても買えますので,第283話を読み終わった後,事務所近くの書店に走りました。

 


ネタバレしないように感想を述べたいと思いますが,アリステラの小ボス感が一気に増した点が気になりました。また,アタル兄さんの瞳が美しすぎました。慈悲に溢れています。今回の2話分は嶋田先生の台詞が刺さりましたし,中井先生の作画が綺麗でした。チープな表現ですが,本当に感動しました。今後のリアル``マッスルブラザース``の活躍が気になるところです。

 


先ほど『キン肉マン』連載40周年に触れましたが,たしかに1979年(昭和54年)は令和の時代となった現在にも通じるカルチャーが花開いた年でした。南信長さんの著書『1979年の奇跡 ガンダム,YMO,村上春樹』(文春新書)にも詳しいところです。私もリアルタイムで少年時代をすごしました。GW中,幼馴染みと話した際,『キン肉マン』が現在も連載していることを知らなかったので,教えてあげました。
ちなみに,その幼馴染みと話していると,たまたま「日本人最強のレスラーは誰か?」との話題になりました。私は「ジャンボ鶴田」推しなのですが,その幼馴染みは「武藤敬司」推しでした。ジュニアヘビー級に限れば「初代タイガーマスク(佐山聡)」で争いはありません。

投稿者: 弁護士濵門俊也

2019.04.26更新

こんにちは。日本橋人形町の弁護士濵門俊也(はまかど・としや)です。


今朝クリーニング屋さんにスーツを持って行ったところ,「濵門さんは10連休ですか。」と尋ねられました。私は「カレンダーどおりですかね。」と答えました。
今年のゴールデンウィークは,「平成」から「令和」への改元,今上天皇の退位と新天皇の即位といった重大な節目となりそうです。ただ,「10連休」の理由について深く考えていない日本国民も多くいらっしゃると思います(チコちゃんに叱られそうです。)。
そこで,今回は,「10連休」の謎について解説してみます。


●祝日と休日とは何が違うの?


祝日と休日とでは大きな違いがあります。

祝日に関する法律といえば「国民の祝日に関する法律」(以下「祝日法」といいます。)に祝日についての様々な決まりが規定されています。祝日法第1条には,「国民の祝日」(祝日)とは,「自由と平和を求めてやまない日本国民が,美しい風習を育てつつ,よりよき社会,より豊かな生活を築きあげるために,国民こぞって祝い,感謝し,又は記念する日である。」と定義されています。

この祝日法がさす「休日」には,国民の祝日,振替休日,祝日と祝日に挟まれた日,の3種類が含まれます。これを祝日法に基づく休日といい,同法第3条に規定されています。


祝日法第3条(休日)
1 「国民の祝日」は休日とする。
2 「国民の祝日」が日曜日に当たるときは,その日後においてその日に最も近い「国民の祝日」でない日を休日とする。
3 その前日及び翌日が「国民の祝日」である日(「国民の祝日」でない日に限る。)は,休日とする。


●2019年のゴールデンウィーク


ところで,5月1日が祝日か休日かでどう変わるのでしょうか?
もし祝日となりますと,4月29日は「昭和の日」,5月3日は「憲法記念日」という祝日ですから,5月1日が祝日だとしますと祝日法第3条第3項により,祝日と祝日の間に挟まれた4月30日及び5月2日の平日が休日に変わります。

そうすると,4月28日~5月6日までの9日間の大型連休が出現します。土曜日の4月27日も含めると,10日間の超大型連休になります。これが10連休の理由です。

もし5月1日がただの「休日」だとしますと,祝日法第3条第3項は適用されませんので,4月30日及び5月2日は平日のままとなり,「大型飛び石連休」に様変わりです。

さて,実際はどうなのでしょうか。
実は法律があります。2019年は,新天皇が即位する5月1日と「即位礼正殿の儀」が行われる10月22日を「国民の祝日」とすることが法律で定められました。
そうしますと,2019年のゴールデンウィークも,つぎの3種類に分けることができます。


【国民の祝日】4月29日(昭和の日),5月1日(新天皇即位),3日(憲法記念日),4日(みどりの日),5日(子どもの日)

【振替休日】5月6日(5日が日曜のため)

【休日】4月30日,5月2日(祝日と祝日に挟まれた日)


●君は「10連休」を取ることができるか?!


冒頭で「カレンダーどおり」と発言した私は「10連休」となりますが,あなたは「10連休」を取ることができるでしょうか。雇用されている従業員にとって会社に出勤しなくてもよい日,すなわち労働義務がない日というのは,国民の祝日に関する法律に拘束されません。実際は,就業規則や労働契約の規定によって決まるのです。

例えば,就業規則で「休日は土曜日,日曜日,国民の祝日とする。」とだけ規定されているだけであれば,規定を杓子定規に適用すれば,2019年の場合,4月30日や5月2日,6日は,会社所定の休日には該当しないこととなります。

その理由は,たしかに,祝日法によれば,祝日と祝日に挟まれた日なので休日とはなりますが,それは,あくまで法律上は休日となるというだけであり,労働者が勤務している会社の休日は別のルール,つまり就業規則や労働契約で決まるという点にあります。

4月30日や5月2日及び6日は,「土曜日」でもありませんし,「日曜日」でもありません。もちろん,「国民の祝日」でもありません。カレンダーでは赤字になっていても,国民の祝日ではない休日ですから会社所定の休日にならないわけです。

かりに上記の規定のような就業規則とはなっていても,「祝日法に基づく休日」には会社に出勤しない,という慣行が認められるような職場も多いと思います。
このような職場であれば,労働者と使用者側の間において,規則に明確なルールがないものの,長年守られてきた労使慣行のひとつとして,「4月30日や5月2日は会社に出勤する義務のない日である」という主張も成り立ち得ると思います。労使慣行といいますのは,就業規則等で明文化されているものではないものの,労働条件を補完するものです。


●5月1日は亡き妻の祥月命日


最愛の妻を亡くし,1年が経とうとしています。アニメ機動戦士Zガンダムに登場するクワトロ・バジーナ大尉の名言につぎ台詞があります。


「生きている間に,生きている人間のすることがある。それを行うことが,死んだ者への手向けだ。」


先日鑑賞してきた映画『キングダム』(原作ファンも納得の最高の出来栄えでした。あの個性的なキャラクター達を見事に演じられていました。戦闘シーンのアクションもすごかったです。)の冒頭でも信が漂の死を乗り越えて,「天下の大将軍」を目指します。「天下の代将軍」は目指せませんが,大志を抱いて自身の使命を全うしたいと思います。

投稿者: 弁護士濵門俊也

2019.02.19更新

こんにちは。日本橋人形町の弁護士濵門俊也(はまかど・としや)です。


本日,最高裁判所第3小法廷(宮崎裕子裁判長)で注目の判決が下されました。
離婚時の精神的苦痛に対する慰謝料を,別れた配偶者の過去の不貞行為の相手方に請求できるかという点が争点となった事件です。

配偶者の不貞行為の相手方に対しては,離婚が成立したかどうかにかかわらず不貞行為の慰謝料を請求できることとされています。しかし,離婚に対する慰謝料を請求できるかについては,実は最高裁の判例がなく,初判断が示される可能性があるとして注目されていました。


●事案の概要と上告までの流れ


原告は関東地方に住む男性です。平成27年に妻と離婚し,その4年前まで妻と不貞交際関係にあった妻の元同僚を相手取り「不貞行為が原因で離婚した」として計約500万円の支払いを求めて提訴した事案です。ちなみに,妻には慰謝料を請求していません。

本件の事案の特殊性としては,原告の男性が元妻の不貞行為を知ってから3年以上経過していたことが挙げられます。民法724条前段は,不法行為に基づく損害賠償請求権は「損害及び加害者を知った時から3年間行使しないときは,時効によって消滅する」と規定しています。このため,訴えられた元不貞行為の相手方側は「時効により請求権が消滅している」と反論しました。

ところが,第一,第二審は,原告の男性の訴えを認め,元不貞行為の相手方側に約200万円の支払いを命じました。第一審判決は「不貞行為の発覚をきっかけに婚姻関係は悪化し,離婚に至った」と認定。離婚慰謝料について,消滅時効の起算点は「離婚の成立時」であるとする最高裁判例(最二小昭和46年7月23日民集25巻5号805頁)を引用し,「不貞行為により離婚を余儀なくされて精神的苦痛を被ったと主張する場合,損害は離婚成立時に初めて分かる」と判示し,慰謝料の支払いを命じたのです。

判決ははっきりとは述べていませんが,「不貞慰謝料」ではなく,「離婚慰謝料」として元不貞行為の相手方に支払いを命じたわけです。平成27年の離婚から3年以内の提訴でしたので,この枠組みであれば消滅時効にはかからないわけです。この判断第二審・東京高裁も支持しました。

この判決を元不貞行為の相手方側は不服とし,最高裁に上告したのです。

本件では,第二審の結論を変更する際に必要な弁論が開かれたことから,元不貞行為の相手方に賠償を命じた原判決が変更される可能性があるとして注目されていました。


●最高裁は,特段の事情がない限り,離婚に伴う慰謝料を請求することはできないと判断


【最高裁判決の理由,以下引用始め】


夫婦の一方は,他方に対し,その有責行為により離婚をやむなくされ精神的苦痛を被ったことを理由としてその損害の賠償を求めることができるところ,本件は,夫婦間ではなく,夫婦の一方が,他方と不貞関係にあった第三者に対して,離婚に伴う慰謝料を請求するものである。
夫婦が離婚するに至るまでの経緯は当該夫婦の諸事情に応じて一様ではないが,協議上の離婚と裁判上の離婚のいずれであっても,離婚による婚姻の解消は,本来,当該夫婦の間で決められるべき事柄である。
したがって,夫婦の一方と不貞行為に及んだ第三者は,これにより当該夫婦の婚姻関係が破綻して離婚するに至ったとしても,当該夫婦の他方に対し,不貞行為を理由とする不法行為責任を負うべき場合があることはともかくとして,直ちに,当該夫婦を離婚させたことを理由とする不法行為責任を負うことはないと解される。
第三者がそのことを理由とする不法行為責任を負うのは,当該第三者が,単に夫婦の一方との間で不貞行為に及ぶにとどまらず,当該夫婦を離婚させることを意図してその婚姻関係に対する不当な干渉をするなどして当該夫婦を離婚のやむなきに至らしめたものと評価すべき特段の事情があるときに限られるというべきである。
以上によれば,夫婦の一方は,他方と不貞行為に及んだ第三者に対して,上記特段の事情がない限り,離婚に伴う慰謝料を請求することはできないものと解するのが相当である。


【最高裁判決の理由,以上引用終わり】


当職は,あくまでも離婚に伴う慰謝料請求という性質上,本件の第一,第二審の判断については,違和感しかありませんでした。ですので,法解釈上は最高裁の判断を相当であると考えます。事案の詳細については分かりかねますが,何かしら特殊な事実関係があったのかもしれません。

投稿者: 弁護士濵門俊也

2018.08.31更新

こんにちは。日本橋人形町の弁護士濵門俊也(はまかど・としや)です。


昨日,当職が注目していた事件の判決が下されました。
それは,生まれた子どもの父親であることを法的に否定する「嫡出否認」の訴えを起こす権利を,夫のみに認めた民法第774条の規定は男女同権を定めた憲法に反するとして,神戸市の60代女性らが国に計220万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決です。
大阪高裁(江口とし子裁判長)は平成30年8月30日,上記規定は違憲ではないと判断し,一審に続き請求を退けました。


争点は民法第774条の違憲性や,法改正しない国に裁量権の逸脱があるか否かという点です。


昨年11月の第一審・神戸地裁判決は「規定は嫡出否認の要件を厳格に制限し,婚姻中の夫婦に生まれた子の身分を早期に安定させる目的で合理性がある」と指摘していました。また,現行制度を合理的と是認した平成26年の最高裁判決も踏まえ,憲法違反には当たらないと判断し,請求を棄却しました。大阪高裁は判決理由において,嫡出否認の訴えを夫にだけ認めているのは「夫は父子関係の当事者で,子の扶養義務を負うなどの法的な権利義務の関係が生じる」からであり,妻は妊娠の時期や相手を選んで生物学上の父子関係を管理できるのに対し,夫はそれができないと指摘し,規定には合理性があり,違憲ではないとしたのです。
また,妻や子にも訴えを認めるかどうかは「社会状況を踏まえた国会の立法裁量に委ねられる」とし,裁量権の逸脱はないとしました。


原告は60代女性のほか,30代の娘と8歳及び4歳の孫2名の計4名です。
原告の60代女性は昭和57年,当時の夫の暴力を理由に別居。その後,夫との離婚が成立する前に別の男性との間に娘が生まれ,男性を父とする出生届を提出しました。しかし,「妻が婚姻中に懐胎した子は,夫の子と推定する」との民法第772条第1項の「嫡出推定」の規定を理由に,男性との間の子だとする出生届は受理されず,民法上は夫しか嫡出否認の訴えを提起できませんので,娘は無戸籍となりました。さらに娘が産んだ孫2人も無戸籍となったのです。娘は法的に結婚できず,孫には就学通知や健康診断の案内が届かなかったそうです。
原告側は「妻や子も訴えを起こせるよう法改正されれば無戸籍は避けられた」と主張しています。ちなみに,3人の無戸籍は夫の死後,認知調停などを経て平成28年に解消されています。


あらためて,民法772条は,妻が婚姻中に懐胎した子は夫の子と推定すると規定しています(第1項)。さらに婚姻の成立の日から200日経過後や,婚姻の解消・取消しの日から300日以内に生まれた子も,婚姻中に懐胎したものと推定します(第2項)。
この推定を覆す「嫡出否認」を訴える権利(否認権)は夫にのみ認められ,妻や子には許されていません(民法第774条)。その立法趣旨は,出産の外形的事実から確定できる母子関係と異なり,「父子関係の証明は難しいため」,嫡出推定は子の利益のため法律上の父を明確化し,親子関係を安定させる点にあるとされています。
上記立法趣旨自体は明白に不合理とはいえませんので,法を解釈・適用し,紛争を解決する裁判所としては,なかなか違憲判決を下すことは難しいと思います。しかし,「それでも」と言い続けなければなりません。
当職の個人的意見としては,否認権者の範囲を夫のみに限らず,少なくとも妻,子には認めるべきだと思います。さらに,生物学的な父にも拡大すべきであると考えています。「父子関係の証明は難しい」といいますが,現在のDNA型鑑定の精度からすれば,99.999……%の確率で生物学上の父であることが判明するからです。司法で解決できない問題である以上,立法で解決するほかありません。

投稿者: 弁護士濵門俊也

2018.03.23更新

こんにちは。日本橋人形町の弁護士濵門俊也(はまかど・としや)です。


わが国では,DVの防止と被害者の保護を図るため,平成13年(2001年)10月より「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律(DV防止法)」が施行され,平成16年(2004年),平成19年(2007年)及び平成25年(2013年)に改正されています。

もはや説明するまでもないこととなりましたが,DVとはドメスティック・バイオレンス(domestic violence)の略であり,直訳すると家庭内暴力となります。最近では,デートDVなどと称する恋人間のものも含まれるようになりました。

DVは程度が相当ひどい場合には,「その他婚姻を継続し難い重大な事由」(民法770条1項5号)として法律上の離婚原因ともなり得るので,昨今の離婚原因にはほとんどDVの主張が出てきます(当職が担当する離婚事件は,若干被告の比率が高いのですが,まぁDVの主張が多いこと。若干食傷気味です。)。

もちろん,離婚訴訟などでDVを主張しても,相手方が全面的に認めることはほとんどありません(民事訴訟においては,ほとんどが否認事件です。)。民事訴訟における証明責任のルールにしたがい,DVを主張する側が立証をしていかければなりません。ただ,DVの証拠がまったくないということもよくある話であり,場合によっては証拠を捏造してくることもあります。

相手方から暴力を受けたら基本的には別れる方向で検討せざるを得ないでしょう。相手方が離婚や交際をやめることを拒んだり,ストーカー化する場合に備えて,客観的な証拠を残しておくことはたいへん重要なことです。証拠を示すことができれば,訴訟等で有利に利用できますし,警察等に相談する際も誠実な応対をしてもらえる材料になると思います。

そこで,今回は,「DVの証拠の残し方」について解説したいと思います。なお,DVには経済的暴力や精神的虐待等も含まれますが,ここでは物理的な暴力行為に限定するものとします。


●DVの証拠には何がある?


① 医師の診断書

医師の診断書は,DV事件でよく提出される証拠の一つです。ただし,医師の診断書は必ずしも万能ではありません。医師の診断書で客観的に立証できるのは,傷害を負った事実であり,その受傷原因がDVであることまでは必ずしも立証できません。
そのため,後述のメモや日記などでの補強が必要となります。


② 写真
傷の様子や,壊された物品などの写真も有力な証拠の一つです。生々しい傷跡の写真などは事実認定者である裁判官等に対し,視覚的に訴えることができ,彼らに与えるインパクトも大きいと思います。


③ 電話等の録音,メール
いわゆるハネムーン期と呼ばれる安定期に,DV加害者が謝罪をしてくることがあります。その際のメールや謝罪の録音などは,いわば加害者の自白といえますので有力な証拠になるでしょう。逆に脅迫的な内容もろだしのものも十分活用できます。


④ メモ,日記
DVを受けた状況のメモやそれを記した日記などを作成することはいろいろなところで推奨されています。ただ,相手方がDVを否認している場合に,メモや日記だけでDVが認定されることはまずないと考えてよいのではないでしょうか。メモや日記ですが,裁判上の事実認定においては,その証拠価値はほとんどないと思います(もちろん,油断はできないので,しっかり弾劾しますが)。
とはいうものの,メモや日記は後日DVに関する正確な主張をするために有用ですし,メインの証拠とはならなくても診断書などの客観的証拠を補強する証拠にはなります。その観点からも,ないよりはマシといえますので,やはりメモや日記は作成しておくべきでしょう。
メモの作成の仕方としては5W1Hを意識して,いつ・どこで・誰が誰に対して・何を・どのように行ったかをきっかけや経緯を含めてできる限り具体的に書いておきましょう。一般的には,本人が実際に体験したことというのは具体的に述べられると考えられており,逆に具体性がない供述は信用性を低く見積もられてしまいます。しかし,記憶というものは薄れてしまうものであるから,なるべく体験した日に詳細なメモなり日記をつけておくことが重要です。家族にメールを送るなどしてもいいでしょう。
その他,警察に通報するなどの実績作りも有効です。それなりに傷害を負っている場合は,逮捕までされることもあります。


●できるだけ客観的な証拠を収集することが重要


以上,DVの証拠をみてきましたが,男女の不満というものは2倍にも3倍にも話が盛られるのが通常でしょう。そのため,客観的な証拠に基づかない主張というのは基本的には話半分にしか聞いてもらえないということを知っておきましょう。

DVを本気で立証する気があるのなら,客観的な証拠を残しておくことが重要です。

投稿者: 弁護士濵門俊也

2018.03.19更新

こんにちは。人形町の弁護士濵門俊也(はまかど・としや)です。


離婚の際によく問題になるものの1つとして,「婚姻費用」というものがあります。

婚姻費用とは「夫婦が通常の社会生活を維持するのに必要な生活費をいい,衣食住の費用・交際費・医療費・子供の養育費(子の監護費用)・教育費等である。」(内田貴『民法Ⅳ』(東京大学出版会・平成14年・29頁))

婚姻費用 とは「一般的には,夫婦とその未成熟子の共同生活のために必要とされる費用であり,具体例として,衣食住に関わる費用や,子供の養育や教育等に関わる費用,医療費などが考えられる。もっとも,子の状況(病弱であり,生活能力もない場合)や親の経済状況等に応じて,成年の子のための生活費や学費も,これに含まれるとされている。」(窪田充見『家族法』(有斐閣・平成23年・68頁))


? なかなか定義だけみてもイメージできない方もおられるかもしれません。

現在,婚姻費用が実際に問題になることが多い場面は,夫婦が別居をした場合でかつ離婚が成立していない場合です。
このような場合,とくに専業主婦(主夫)の方は,通常,十分な生活費を得る仕事を有していません。このままでは,専業主婦(主夫)の方は直ちに生活に困窮してしまいます。
そのため,このような専業主婦(主夫)の方が,配偶者に対して,生活費等を請求する場合に問題となるのが「婚姻費用」です。
このように,婚姻費用の分担は,夫婦共同体における内部的な関係として位置付けられるものです。もっとも,とくに問題なく家庭生活が営まれている場合には,婚姻費用分担をめぐる問題が生ずることは多くないでしょう。
実際に,この問題が顕在化するのは,婚姻が破綻しつつあるような場面においてです。


ちなみに,この婚姻費用を請求できる or 支払わなければならない根拠は,民法第760条にあります。


(婚姻費用の分担)
民法第760条 夫婦は,その資産,収入その他一切の事情を考慮して,婚姻から生ずる費用を分担する。


婚姻費用については,様々な論点や問題があります。
今回解説をするテーマは,「婚姻費用分担義務の始期」です。
すなわち,「別居した場合,いつから婚姻費用の支払を相手方に請求できるのか?」というテーマです。


●婚姻費用分担義務の始期は「請求した時」


結論としては,婚姻費用分担義務の始期は,一般に「請求した時」と考えられています。

例えば,ある有名な東京高裁の決定は以下のように述べます。

「婚姻費用分担義務の始期は,同義務の生活保持義務としての性質と両当事者間の公平の観点から考えれば,権利者が義務者にその請求をした時点と解すべきである。」(東京高決昭和60年12月26日判タ603号80頁)


上記決定は30年以上前の決定ではありますが,そこで示された考え方は,現在の裁判所でも支持されています。例えば,最近の審判例でも,つぎのように説明されています。

「本件審判において形成すべき婚姻費用分担の始期については,申立人が本件調停を申し立てた平成26年●月とするのが相当である」(東京家審平成27年6月26日判時2274号100頁)


「その始期は,本件調停申立時である平成24年●月分からと認めるのが相当」(福島家郡山支審平成25年6月10日家月65巻7号198頁)

「婚姻費用分担の始期については,婚姻費用分担調停の申立時と解される」(横浜家審平成24年5月28日家月65巻5号98頁)


●始期は婚姻費用分担調停申立時に限らない


上記裁判例をみますと,婚姻費用分担義務の始期は調停申立時に限るかのような気がしてきます(実際,Webサイト上にはそのように断言している解説もあります。)。しかし,結論から申し上げますと,必ずしも調停申立てによる必要はありません。ある裁判例は次のように述べます。


「その分担の始期については,婚姻費用分担義務の生活保持義務としての性質と当事者間の公平の観点からすると,本件においては,申立人が相手方に内容証明郵便をもって婚姻費用の分担を求める意思を確定的に表明するに至った平成●年●月とするのが相当である。」(東京家審平成27年8月13日判時2315号96頁)

この裁判例の匿名解説も次のように述べます。
「婚姻費用や養育費の支払時期については,裁判所の合理的な裁量によって決定すべき問題であるが,実務上は,権利者が婚姻費用や養育費の分担請求をした時とすることが多く,通常は,調停や審判の申立てをした月としている。もっとも,調停や審判の申立てをする前に婚姻費用や養育費の請求をしたことが内容証明郵便や電子メール等で明らかな場合には,その請求をした月を始期とすることが多い。」(判時2315号96頁)


「実務では,義務者の支払義務は,権利者が請求したとき(通常は婚姻費用分担調停又は審判の申立時)に生じるとすることが多いようです。」(秋武憲一『離婚調停(第3版)』・日本加除出版・平成30年・267頁))の括弧書を見落としてはなりません。

投稿者: 弁護士濵門俊也

2018.02.14更新

こんにちは。日本橋人形町の弁護士濵門俊也(はまかど・としや)です。

 


●親権者が死亡した場合に子どもはどうなるの?


未成年者のお子さんをもつご夫婦が離婚する場合、両親のどちらが一方が親権者となりますが,その親権者が死亡した場合,未成年者のお子さんはどうなるのでしょうか?

この点に関し,親権者が死亡した場合については,親権者がいなくなったものとして,未成年後見人が選任されることとなります(民法838条1号)。
もう一方の親の親権が当然に復活するのではないことにご注意ください。


●未成年後見人の決め方

それでは,未成年後見人は,どういう基準で選ばれるのでしょうか?

この点について、民法839条1項本文は「未成年者に対して最後の親権を行う者は,遺言で,未成年後見人を指定することができる」と規定しています。
よって,親権者が余命宣告をされているような場合で,誰か未成年後見人になって欲しい人がいるときは,遺言を書いておく必要があります。

それでは,遺言がない場合はどうなるのでしょうか。実は,この場合も民法に定めがあります。

すなわち,民法840条1項は,「家庭裁判所は・・・親族その他の利害関係人の請求によって,未成年後見人を選任する」としています。
この場合,裁判所は,あらゆる一切の事情を考慮して,もっとも子どものためになると思われる人物を選びます(民法840条3項)。
実際には,親権者の死亡前から子どもと同居している親族がいる場合(同居の祖父母、おじ、おば等)には,その親族が選ばれることが多いようです。


●もう一方の親の親権を復活させたい場合

上記のとおり,親権者が亡くなった場合,未成年後見人が選任されるのが原則ですが,もう一方の親が「親権者の変更」(民法819条6項)の申立てを行い,裁判所が親権者を変更するのが適切と認めた場合には,もう一方の親が新たに親権者となります。



●未成年後見人と親権者の変更が競合した場合

未成年の子どもの親族が未成年後見人の選任を申し立て,もう一方の親が親権者の変更の申立てをした場合,どちらが優先されるのかが問題となります。
このようなケースについては,法律に明確な定めがありませんが,法律の趣旨が子どもの利益・福祉を守ることにあることから,子どもにとってどちらが適切かを判断して決めています。
実際には,もう一方の親と子どもの関係が良好な場合には,もう一方の親への親権者変更が認められるケースが多くあるようです。

投稿者: 弁護士濵門俊也

2018.01.16更新

こんにちは。日本橋人形町の弁護士濵門俊也(はまかど・としや)です。


不倫・不貞行為の証拠となり得る材料はあちらこちらに隠されています。調査会社の報告書はオーソドックスですが,最近は,電子メールはもちろん,LINEやTwitter等のSNSも証拠として提出する機会が増えました(もっとも,裁判所に提出するのは紙ベースの書証としてですが。)。

「不倫の証拠」を家族共有のパソコンで見つけたという人が,証拠として使えるのかと相談される機会もあります。
ここで問題となりそうな点は,「不正アクセスにならないのか」という点です。相談者は「配偶者がメールサイトにログインしたまま放置していました。追加のログイン操作をせずにメールの中身を見ることができたのですが,これは不倫の証拠として使用しても問題ないでしょうか」と質問してきます。
相談者のように「ログイン操作をせずにメールの中身を見ることができた」場合には,不正アクセスには該当しないのでしょうか。かりに「ログイン操作」をしていた場合には,不正アクセスに該当するのでしょうか。


●解説のポイント
・「上記相談者のケースでは,不正アクセスに該当しない
・オンラインでIDやパスワードを無断入力すると「不正アクセス」に該当する
・不正アクセスで得た証拠は,証拠能力が否定される可能性もある


●「不正アクセス」に該当しない根拠


結論からいいますと,相談者のケースには,不正アクセスには該当しません。不倫の証拠として有効なものだといえます。

不正アクセス行為の禁止等に関する法律第2条4項によると,「不正アクセス」とは,コンピュータ・ネットワークを通じて,他人のIDやパスワードを無断で入力するなどして,他人のコンピュータにアクセスすることだとされます。
相談者のケースでは,メールを閲覧する際にIDやパスワードを無断で入力したという事情はありません。また,かりに,共有PCのキーボードでメールソフトのIDやパスワードを入力していたとしても,「コンピュータ・ネットワークを通じての入力」には該当しません。したがって,不正アクセスには該当しないと思われます。


●不正アクセスで得ると,証拠能力が否定される可能性もある


では,もし,「不正アクセス」に該当する方法で配偶者の不倫の証拠となるメールを手に入れた場合,民事訴訟や人事訴訟において証拠として利用することはできるのでしょうか。
一般的には,違法な手段で手に入れた証拠であっても,原則として民事裁判や人事訴訟において使用することは可能です(民事訴訟等で採用されている自由心証主義により証拠能力の無制限が導かれるからです。)。
しかし,証拠の入手方法が極めて悪質であったり,それによって他人の人権が著しく侵害されたりするような場合は,証拠能力が認められず,民事訴訟等で使用することはできないとされています。
不正アクセスに該当するような場合,すなわち,コンピュータ・ネットワークを通じてのハッキングによって配偶者のメールを入手した場合などは,入手方法がかなり悪質であると考えられること,配偶者のプライバシーを侵害している面は否定できないことなどから,証拠能力が否定される可能性もあり得ます。

投稿者: 弁護士濵門俊也

2017.12.19更新

こんにちは。日本橋人形町の弁護士濵門俊也(はまかど・としや)です。


●嫡出否認を夫のみに認める民法規定の合憲性を争った事件の第一審判決

 生まれた子との父子関係を否定する「嫡出の否認」を「夫」にのみ認める民法の規定(民法774条,同775条等)は,男女平等を定めた日本国憲法14条等に違反するとして,兵庫県の60代の女性と長女,孫2人が国を相手に計220万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が平成29年11月29日,神戸地方裁判所で下されました。冨田一彦裁判長は「規定は合憲」と述べ,請求を棄却しました。原告側は控訴する方針だそうです。

 原告側代理人の弁護士によると,嫡出否認規定の違憲性を争う訴訟は全国で初めてだそうです。
 冨田裁判長は,夫にのみ否認権を認めることは「生物学上と法律上の父子関係を一致させる要請と,早期に父子関係を確定し身分関係の法的安定を保持する要請との妥協点で,合理性がある」と述べました。
判決によりますと,女性は約30年前,元夫の暴力を理由に別居し,離婚成立前に別の男性との間に長女を出産しました。しかし,男性を父とする出生届は「妻が婚姻中に懐胎した子は,夫の子と推定する」とする民法772条1項の規定により不受理となりました。
 女性は元夫との接触を恐れ,嫡出否認の訴え(民法775条)を提起してもらうことを断念しました。結局長女とその子ども2人は昨年まで無戸籍でした。訴訟では「妻や子が訴えを起こせれば無戸籍にならなかった」と主張していたそうです。
 冨田裁判長は,原告のようなケースについて,「訴訟手続上の個人情報の秘匿や,夫の暴力から保護する法整備などが必要」と言及しています。こうした対策がなければ,妻に嫡出否認の提訴権を認めても行使は困難なことがあると指摘しました。


●無戸籍者問題

 出生届が提出されていない無戸籍者が平成29年8月10日時点で700人いることが,法務省の集計で分かっています。
 このうち,民法772条が定める「嫡出の推定」によって夫(夫が虐待を加えており,それから逃れているようなケース)や元夫(離婚直後に別の男性との間で懐胎したようなケース)の子とするのを避けるため,母親があえて届け出ないケースが約7割にも上っているそうです。無戸籍者は把握できていない例が多く,潜在的に1万人を超えるとの見方もあり,法務省は無戸籍状態の解消について法務局などに相談するよう呼び掛けています。
 法務省が統計を取り始めた平成26年以降に把握した無戸籍者の累計は1426人です。判明後に戸籍を取得した人もいるのですが,先ほどの無戸籍者700人のうち131人は成人しているそうです。また,700人という数字は,平成27年3月時点の567人よりも増えています。
 無戸籍状態を解消するには,家庭裁判所の調停などで元夫との間に父子関係がないことを確認したり,血縁上の父に父子関係を認めてもらったりしたうえで,戸籍を取得する必要があります。家庭裁判所での手続には精神的,金銭的な負担が大きく,ためらう人も多いのかもしれませんが,少なくとも金銭的な負担は法テラスの民事法律扶助制度を利用するなどして対応できます。精神的負担等を少しでも軽減すべく我ら弁護士がサポートいたします。


●無戸籍者問題にお困りのかたは,当職弁護士濵門俊也までご相談ください。

 無戸籍の方が母の元夫の戸籍に記載されることを求めない場合の手続は,つぎのようなものがあります。

 まず,戸籍事務の担当者に,嫡出の推定が及ばないということがはっきり分かれば,嫡出否認の手続によることなく,戸籍上元夫の子とはしないという取扱いが可能です。そのような例としては,まず,離婚後300日以内に出生した子であっても,医師の作成した証明書により,婚姻中に懐胎した子ではないこと(=離婚後に懐胎したこと)を直接証明することができる場合があります。


 このほかにも,裁判手続において嫡出の推定が及ばない事情が証明されれば,嫡出否認の手続によることなく元夫との父子関係を争うことが可能とされています。その結果,元夫との間に父子関係がないことが明らかになれば,戸籍上も元夫の子として取り扱わないことが可能です。どのような場合に嫡出推定が及ばない事情があるといえるかについて,最高裁判所は,「妻が子を懐胎すべき時期に,既に夫婦が事実上の離婚をして夫婦の実態が失われ,又は遠隔地に居住して,夫婦間に性的関係を持つ機会がなかったことが明らかであるなどの事情が存在する場合」と判示しており,一般的には,母の懐胎時に外観上婚姻の実態がない場合をいうと解されています。裁判手続によらなければならないのは,このような事情があるか否かについて,市区町村の戸籍窓口で調査し認定することは困難なためです。

 裁判手続の具体的な方法としては,①元夫を相手として,父子関係がないことの確認を求める親子関係不存在確認の手続,②血縁上の父を相手として,子であると認めることを求める強制認知の手続があります。これらの方法であれば,元夫からしかできない嫡出否認の手続と異なり,無戸籍の方又は母が自ら行うことができます。

投稿者: 弁護士濵門俊也

2017.10.04更新

こんにちは。日本橋人形町の弁護士・濵門俊也(はまかどとしや)です。


仏教学者である植木雅俊先生が,西日本新聞に連載中の「仏教50話」15回(平成29年10月3日付け)に,つぎのような一節がありました。

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「仏陀(ぶっだ)」と書くと,人間離れした特別の存在として受け取られ,「成仏(じょうぶつ)」と言うと,その特別な存在になることか,死後のことだと思われる。

原始仏典にはしばしばブッダの複数形が登場し,釈尊のみを示す固有名詞ではなく,普通名詞である。「法(理法)/〝真の自己〟に目覚めた人」のことだ。

「成仏」という言葉の意味は,「仏に成る」よりも「法/〝真の自己〟に目覚める」のほうが正確である。「仏に成る」では,現在の自己(人間)と別の存在になることになり,現在の自己が否定される。人間存在は否定されるべきでなく,法/〝真の自己〟に目覚めればよい。

釈尊入滅後,教団の権威主義化に伴い「釈尊は天文学的な時間をかけて修行してブッダになった。ブッダになれるのは釈尊のみ」と神格化された。 ところが,最古層の原始仏典には「まのあたり即時に実現され,時を要しない法」という言葉が頻出する。天文学的時間など必要なかった。それは即身成仏,一生成仏を意味する。

……………………

「成仏」とは「法/〝真の自己〟に目覚める」こと,このことを「わかった」だけでは「かわりません」。「わかる」ことよりも「かわる」ことが大事であるといわれます。
そして,「かわる」ことは,「これまでの考え方がかわり行動もかわる」ことになり,その結果「わかった」となるわけです。
「かわりたい」のであれば,まず「かわることを信じて行動する」ということが大切です。その不断の努力が自己の人格を覚醒していくこととなります。

投稿者: 弁護士濵門俊也

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