離婚・男女問題コラム

2017.08.29更新

こんにちは。日本橋人形町の弁護士濵門俊也(はまかど・としや)です。


最近当職の皮膚感覚として,面会交流について知恵を絞る場面が増えています。自分自身のことすらよく分かっていないのに,人の気持ちなど理解できるわけないのですが,そこで諦めたら試合終了です。決して諦めることなく,それでも何かあるはずだと子の利益・福祉や様々なことを考慮し,いかにうまく面会交流できるのかを考えています。
さて,面会交流といいますと,別居している親と子どもとが実際に会うことをイメージしがちですが,このような直接的な面会交流だけではなく,間接的に交流する面会交流もあります。今回は,間接面会交流について説明したいと思います。


1 どんなときに間接面会交流か
面会交流の目的は,親が子どもの成長を実感し,子どもも親から愛されていることを実感する点にあります。そのため,基本的には,話をしたり,遊んだり,食事をしたりと直接会って交流することが前提です。しかし,すべての親子にとって直接会う面会交流がベストなのではなく,間接的な面会交流の方がマッチする親子もいます。

1-1 別居親と子どもが遠距離のとき
別居親と子どもとの関係がいかに良好でも,住まいが遠く離れていると,時間的にも金銭的にもそう頻繁には会えません。そのため,直接会うのは夏休みと冬休みにお泊りすることとし,他は間接的な面会交流で補うという方法もあります。

1-2 子どもの拒否が強いとき
家庭裁判所において面会交流の案件が扱われる場合,子どもが拒否しているからといってただちに面会交流できないこととはなりません。どうして子どもが拒否しているのか,拒否の背景に同居親の問題行為(別居親の悪口を言う等)があるのではないか等といったことを考えていくこととなります。そのため,子どもが拒否しているからといって直接的な面会交流への道が閉ざされるわけではありません。
しかし,何ら合理的な理由はないけれど子どもの拒否が強いときや,子どもの年齢がある程度高いときは,むりやり直接的な面会交流を決めても実効性がありませんので,まずは間接で実施しましょう,という結論になることもあります。裁判所以外の協議の場でも同じことがいえると思います。

1-3 子どもが心身の病気であるとき
別居親には何ら問題はないのですが,子ども側の要因で直接会うことが難しい場合があります。例えば,父母の激しい紛争に巻き込まれた結果,別居親と会うと心身の不調を訴える子どもがいます。また,精神的な問題ではないけれど,難病や持病があり,同居親から「しばらくはそっとしておいてほしい。」という希望が出されることもあります。

1-4 親子が長い間会っていないとき
別居親と子どもが長い間会っていないとか,そのせいで既に子どもが別居親の顔を忘れてしまっているという場合があります。この場合,家庭裁判所であれば(とくに子どもが小さい場合),まずは「おじさん」,「おばさん」と遊んでみようという設定で試行的面会交流を行うことも考えられます。しかし,子どもがごまかしの聞かない年齢になっている場合などは,まずは間接面会交流で慣らしてから直接面会交流につなげるという方法があります。長い間会っていなからといってあきらめる必要はありません。ただ,長い間会っていない理由が別居親にある場合は,その理由をきちんと子どもに説明する必要があります。


2 間接面会交流の方法
2-1 手紙
一番オーソドックスな方法は手紙です。とくに有効なのは,子どもの拒否があるときです。別居親からのみ手紙を書くこととし,それを読むか読まないか,返事を書くか書かないかは子どもの自由という具合にしておけば,別居親の関心は伝わるけれど子どもの負担は少なくて済むことになります。子どもの拒否がない場合は,文通も可能です。
手紙は,メールやLINEに比べますと面倒で,今どきの子どもは嫌がると思われがちですが,きちんとした形で手元に残ること,また,普段もらわないからこそ自分宛に届いた手紙が嬉しかったり特別感があったりするようです。ただ,手紙の内容には注意が必要です。離婚の経緯を説明しようとして同居親の悪口を書いてしまったり,親として何かを伝えたいという気持ちが強くて説教調になってしまっては元も子もありません。お互いの近況や,趣味についてでもいいですし,子どもをほめたり応援する言葉も子どもを勇気付けると思います。

2-2 メールやLINE,SNSやfacebookなどのやりとり
今どきの子どもにとっては一番手軽で気負いなくやりとりができるツールです。直接的にやりとりがなくても,お互いのfacebookが見られるようにしておけば,近況や友人関係が分かり,意外と情報が豊富だったりします。一方で,手軽なゆえに別居親から際限なくメッセージを送り続けたりといったトラブルにもなりかねません。節度ある利用が肝心です。

2-3 別居親からプレゼントを渡す
本来,子どもの気持ちは物でつれるものではありませんが,プレゼントをもらえば純粋に嬉しいものです。お誕生日やクリスマスのプレゼント,お正月のお年玉といったものを親からもらうのを楽しみにしているお子さんも多いでしょう。とくに,子どもに拒否があるときは有効です。また,何がほしいかをリサーチする過程で双方向のやりとりも期待できます。ただ,同居親がとても高価なものや生活用品(例えば家電とか)を子どもにねだらせたりして問題化することもあります。通常,親であれば,子どもをどんな風にしつけるでしょうか?別居親のためではなく子どものために,「高価なものをほしがってはいけません。」,「ものをもらったらきちんとお礼を言いなさい。」と言ってあげてください。
プレゼントの内容もいろいろ考えられます。子どもの好きなものを買ってやるのもいいですが,たまには別居親の思いがこもったプレゼントもいいと思います。例えば,子どもの年齢が高ければ,別居親が昔読んで心に残っている本や感動した映画のDVDをプレゼントしたり,是非見に行ってほしい美術館や演奏会のチケットを送ったりするのもいいかもしれません。また,部活動に必要な道具(ボールやラケット,シューズ等)や比較的高価な学用品(電子辞書など)も同居親も含めて喜ばれることが多いと思います。その際,プレゼントのみではなく,メッセージカードも忘れずに付けておきましょう。

2-4 写真や成績表の送付
親からしてみれば,面会交流の目的の一つは子どもの成長を確認することです。しかし,直接会わずとも,写真や成績表といったものを同居親から別居親に送ることでその目的をわずかではありますが達することができます。この方法のいいところは,子どもに何ら負担がないことです。そのため,子どもの拒否が強い場合などには有効です。中には,「お父さん(お母さん)に送らないで」と嫌がるお子さんもいますが,そのくらいは同居親に頑張って説得してもらいたいものです。

2-5 電話やスカイプ
間接と直接の間ぐらいに位置するのが電話やスカイプといった方法です。同じ空間に存在するわけではないけれど,生のやり取りができますし,声が聞けたり顔が見られたりする点で限りなく直接的な面会交流に近い交流が期待できます。ただ,注意が必要なのは,電話やスカイプというのは,直接会って一緒に買い物をしたりするよりも交流の密度が濃く,相手と向き合う姿勢が求められます。そのため,遠距離で頻繁には会えないけれど,親子の関係は良好である場合に有効です。また,この場合,子どもが同居親に気兼ねをしてしまったり,同居親が監視したりするのを避けるため,「子ども部屋で」とか「同居親は別室で待機する」等の注意事項をつけることも考えられます。

2-6 その他
そのほかには,別居親の記憶がほとんどない幼い子どもに,定期的に別居親から送られてくる動画を見せるとか,子どもが書いた絵や作文を別居親に送るとか,引きこもりの子どもとオンラインゲームで対戦するとか,親子の数だけ方法があるようにも思います。

3 まとめ
上記に挙げた方法のほかにも,それぞれの親子に合った方法が考えられます。ただ,間接面会交流は,面会交流を求める側にとっては物足りない気持ちが残るものです。また,本来であれば,親子が直接かかわれるのがお互いにとっていいはずです。そのため,家庭裁判所で取り決めをする際,「再協議時期」を条項に入れることがあります。例えば,当面は間接面会交流でいくけれども,半年後に直接面会交流に関する協議を行うといった具合です。
どのような決め方をするにしろ,一番大切なことは,双方の親には自分たちの感情を少し脇においていただき,子どものことを思い浮かべてよりベターな方法を模索することではないかと考えます。

投稿者: 弁護士濵門俊也

2017.08.17更新

こんにちは。日本橋人形町の弁護士濵門俊也(はまかど・としや)です。


ここ数年,著名人や政治家等の不倫疑惑の報道が絶えません。その際,ホテル等に入って出ている写真等が撮影されているにもかかわらず,「何もなかった」,「一線は超えていない」などと苦しい言い訳をされる方もおられます。
たしかに,性交渉に及んでいたという明白な証拠はないのですが,もし上記のような言い訳が通用するのであれば,浮気調査など意味がないという話にもなりかねません。
ただ,これは別に著名人らに限った話ではなく,当職らが担当する離婚等の事件においてもしばしば主張される話なのです。

そこで,今回は,不貞行為による慰謝料請求や離婚等請求の訴訟などで,配偶者以外の女性とホテルに入ったという事実だけで,「肉体関係があった」と認定されてしまうのか,「何もなかった」という言い訳は通用するのかといった話について解説したいと思います。


●肉体関係があったとする非常に強い推認が働く


まず,「ホテルに入ったが,何もしていない」という言い訳が通用するほど裁判は甘くはありません。裁判のルールとして,慰謝料や離婚を請求する場合は,請求する側が相手の不貞行為,最も核心的な行為は性交渉等肉体関係があったこととなりますが,かかる事実をを主張・立証しなければなりません。不貞行為の証拠としては,メールやSNSでのやりとりのほか,実際に肉体関係があることを連想させる写真なども証拠としては有効です。
では上記のように,配偶者以外の異性と2人でホテルの同じ部屋に入った証拠があるとします。ホテルという性質上,成人した男女がホテルという密室に入ったうえで,「ただ休憩しただけ」,「話をしただけ」という状況は想定しづらいと思います。経験則上,社会通念からいっても,肉体関係があったと認定できる非常に強い推認力が働きます。

ただ,それでも当事者が「何もしていない」と主張した場合には,どうなるのでしょうか。
その場合,肉体関係がなかったと主張する側が,「肉体関係があった」とする推認を覆さない限り,責任は免れません。単なる主張だけでは推認を覆すことはできません。
言い換えますと,どんな言い訳をしたところで,配偶者以外の異性とホテルの同じ部屋に入った事実があったとすれば,それだけでほぼ不貞行為はあったものと認定されてしまうと思います。

ではかりに,肉体関係が本当になかった場合,配偶者以外の異性とホテルへ入る行為には,何らかの法的問題につながる可能性はあるのでしょうか。
肉体関係がなかった場合でも,そのことが原因となって婚姻関係が悪化したといえる場合には,慰謝料請求ができる可能性もあるかもしれません。また,そのことをきっかけとして長期間の別居に至れば,「婚姻関係を継続し難い重大な事由」があるとして離婚原因とされる場合もあります。

投稿者: 弁護士濵門俊也

2017.08.09更新

こんにちは。日本橋人形町の弁護士濵門俊也(はまかど・としや)です。


離婚に向けての話合いや別居をしている間の「不倫」に関し,法律相談を受けることがあります。
ある男性は,奥さんが家事をしなかったり,セックスレスだった結婚生活に見切りをつけるために別居をして,離婚に向けての話合いをしていました。ただ,別居から半年の間に,別の女性と親しくなってしまったそうです。男性は「それでも不貞行為に当たるのか」と心配していました。
また,ある女性は,旦那さんから「離婚したい」といわれて別居することとなりました。ところが,その後,旦那さんが彼女をつくって交際していることを知りました。とてもショックを受けている様子で,慰謝料を求めたいと考えていました。
たしかに,離婚に向けての話合いをしているとはいえ,相手がすぐに離婚に応じない場合,不倫していたら道義的には問題がありそうです。一方で,もはや修復不可能なくらいの期間別居している場合は,新しいパートナーをつくっても許されそうな気もします。法的にはどんな問題があるのでしょうか。


●婚姻関係がすでに破綻している場合は「不貞行為」に当たらない


離婚が成立しておらず,法律上の婚姻関係が継続しているときは,基本的に「不貞行為」に該当するものと考えられます。「不貞行為」は,法律上の離婚理由となり,不法行為として損害賠償責任を負うこととなります。
ただし,離婚協議中や別居中であるとして,その状況,別居期間及び別居の理由などの事情を総合的に考慮したうえで,夫婦の婚姻関係はすでに破綻していると認められる場合には,不貞行為には該当せず有責配偶者として責任を負うことにはならないと考えられます。
これは,配偶者の一方が別の異性と性的関係をもったとしても,すでに保護に値する夫婦間の貞操義務はなくなっており,そして配偶者の一方が別の異性と性的関係をもつことは,夫婦の婚姻関係を破綻させた事情ではないと評価できるためです。


●「破綻」と認められる基準はあるの?


同居しているよりは,別居中のほうが破綻と判断されやすいとか,別居して間もないよりも,長期間別居を継続しているほうが破綻と判断されやすいといった傾向はあります。また,同居していても,別居期間が短くても,それまでの関係性や状況によっては,破綻していると判断される場合もあります。
逆に,別居期間が1年以上になっていたとしても,この間,子育てだったり,家族生活の維持に相互に協力していたと認められるとしますと,破綻してないと判断されることもあります。このような次第ですから,破綻と認められる基準のようなものを一概に示すことは難しいと思います。
裁判上の離婚事由として,民法で規定されている「不貞行為」の核心的行為は,性交渉(セックスや口淫など)を伴う行為です。そこまで至らないのであれば,不貞行為そのものとはいいにくいですが,それに準じる行為という認定を受けることはあります。また,裁判上の離婚事由としては,「その他婚姻を継続しがたい重大な事由」に該当すると認定されることはあります。
ですから,「不貞行為」には該当しなくても,交際の程度によっては,法的にも「許されないこと」(違法性・有責性があること)に該当する可能性があるものもあり得ます。
結局,違法性・有責性があるかどうかは,婚姻関係の破綻と評価される状況になってから,交際したかどうかという問題となるますので,なかなか事前に「これなら大丈夫」と太鼓判を押すことは,ほぼできないと思います。

投稿者: 弁護士濵門俊也

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